第216章

 十六歳のセレステだった。

 まだあどけなさが残る顔立ちには、ほんのりと幼い丸みを帯びている。

 あらわになった腕はなめらかで傷ひとつなく、後年刻まれることになる、骨にまで達するような深い傷跡はどこにもなかった。

 エミリーのように無邪気によく笑い、よく喋るわけではない。だが、ただ静かにそこにしゃがみ込んでいるだけで、全身に陽だまりをまとっているかのような温もりを感じさせた。

 夢なのか? それとも、時を遡ったとでもいうのか?

 ルシアンには分からなかったし、それを確かめようとする理知などすでに吹き飛んでいた。

 心臓が張り裂けんばかりの歓喜に呑み込まれ、もつれる足でテラスを駆け...

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