第218章

 彼女の声はひどく弱々しく、今にも風に掻き消されてしまいそうだった。それでも、ルシアンの耳にははっきりと届いていた。

 視線を上げ、どこか寂しげなセレステの横顔を見つめる。その沈んだ瞳の奥に、ほんのわずかな暗い影がよぎった。

 コスタ家において、彼女はこれほどまでに疎まれているというのか。

 ルシアンはふいに喉の奥を詰まらせ、クッキーを口に運ぶペースを上げた。

 セレステがほんの一瞬の感傷から我に返ったときには、十枚以上入っていたはずの小さなクッキー缶は、すでに半分以上が空になっていた。

「あ……そんなに急いで食べないで。お茶も飲んで……」

 空は次第に暗さを増し、残照が血のよう...

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