第237章

 マークの制止など今のルシアンの耳には届かない。よろけながら彼を突き飛ばすと、裸足のまま狂ったように扉の外へと駆け出した。

 身に纏った真紅のドレスが足に絡みつく。二、三歩も走らぬうちにつんのめり、床に激しく叩きつけられた。

 それでも痛みなど微塵も感じていないのか、もがきながら再び立ち上がろうとする。

 マークは駆け寄り、激しく震えるルシアンの双肩を必死に押さえつけた。

「ルシアンさん! 私が車を出します! その方が早いですから! お願いですから、まずは車に!」

 その言葉でようやく我に返ったのか、ルシアンは無駄な抵抗をやめ、マークの腕をきつく掴んでしどろもどろに急き立てた。

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