第24章

 ルシアンが病室に入ってきた。

 彼は清潔な黒のスーツに着替えており、顔の擦り傷には手当てが施され、小さなガーゼが貼られている。

 髪は整えられていたが、眉間に刻まれた冷酷な気配は拭いきれていなかった。

 入室した瞬間、ヴェロニカの言葉を耳にした彼は、気付かれないほどわずかに眉をひそめた。

「ドン、いらしたんですね」

 ヴェロニカが振り返り、甘い笑みを浮かべる。

「お姉ちゃん、さっき目を覚ましたんですけど、まだ状態が良くないみたいで、ずっと震えているんです。今、なだめていたところです」

 その言葉とは裏腹に、彼女の眉の間に浮かぶ憂いは隠しきれていなかった。

 ルシアンは案の定...

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