第26章

 ヴェロニカの手が宙で止まった。顔から気遣わしげな表情が一瞬にして消え失せ、あからさまな不快感が浮かび上がる。

 やがて、彼女は嘲るように口を開いた。

「お姉ちゃん、恩知らずな真似はよして。可哀想だから、いい道を教えてあげようとしてるんじゃない。自分がまだ、あの高飛車なコスタお嬢様で、天才心理医だとでも思ってるの?」

「今のあなたは何もかも失った、ただの吐き気を催すような泥だらけのゴミよ。少しでも利用価値があるだけ、ありがたいと思いなさい」

 その言葉の一つ一つが、無数の棘のついた鞭のように、とうにボロボロになったセレステの魂を容赦なく打ち据えた。

 だが、ヴェロニカはさらに火に油...

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