第30章

 窓を打つ豪雨は、いっそう激しさを増していた。

 まるで天に穴が空いたかのように、雨は永遠に降り続くようで、夜明けは一向に訪れる気配がない。

 書斎には、紫煙が立ち込めている。

 ルシアンの指先に挟まれた葉巻はすでに燃え尽き、長く伸びた灰が今にも落ちそうだったが、彼は全く気づく様子もない。ただ窓の外の暴雨を睨みつけ、その眉間には拭いきれない焦燥が刻まれていた。

 使いを出してからもうすぐ一時間になるというのに、未だに何の報告もない。

 旧迷宮の森は市街地から決して近くはない。ましてやこの悪天候だ、車の運転も捜索も困難を極めるだろう。

 ルシアンは苛立たしげに眉間を揉みほぐした。

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