第32章

 救出に向かった護衛たちは、迷宮のほぼ全域をしらみつぶしに捜索した。だが、見つかったのは血痕と、引き裂かれた衣服の切れ端だけだった。

 彼女は死んだのだと誰もが思った。彼は狂ったように探し続け、周囲の者たちをすっかり震え上がらせていた。

 ところが、市街地にいる部下から信じられない報告が入る。彼女が無事に病院のベッドで横たわっているというのだ。

 その知らせを受けた瞬間、ルシアンの胸に安堵が広がった。

 屋敷に戻る暇すら惜しみ、車中で慌ただしく服を着替え、そのまま病院へと駆けつけた。

 しかし、そこで目にしたのは思いがけない光景だった。

 セレステのベッドの傍らには見知らぬ男が座...

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