第46章

 彼女はのろのろと中へ入り、後ろ手でドアを閉めた。

 心身ともに限界に達していた。ふらつく足取りで狭いバスルームへと向かい、火傷を負った左脚を冷水で手早く洗い流すと、濡れタオルで顔の涙の跡と汚れを拭き取った。

 鏡の中で次第に輪郭を現したその顔は、難民キャンプから這い出してきたばかりのように蒼白で、ひどく痛々しかった。

 鏡に向かい、どうにか口角を上げようとしてみたものの、とっくに笑う機能など失ってしまったことに気づく。

 ほんの些細な動作すら、今のセレステにとってはあまりにも困難だった。

 ――もういい。

 彼女の人生には喜ぶべきことなど何一つ残されていないのだから、これ以上自...

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