第50章

「すでに就業時間は始まっている。アシスタントなら、ボスの足取りにいつでもついてくるべきじゃないのか? それとも、この俺が、アシスタントのスケジュール調整が終わるのを待ってやらなきゃならないのか? それとも、直々に迎えに行ってやろうか」

 セレステはハッと我に返り、ひどく狼狽して彼を見つめた。仕事? 今から? こんなに早く?

 無意識のうちに握りしめていたトーストを慌てて置き、席を立ち上がる。

 その拍子に傍らのミルクをこぼしてしまい、マーサが慌てて駆け寄ってきた。

「奥様、お気をつけください」

 だが、セレステはそれに構っている余裕などなく、マーサに申し訳なさそうに頭を下げると、逃...

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