第54章

 ヴェロニカは必死に平静を装いながらエレベーターに転がり込んだ。扉が閉まった瞬間、その顔に張り付いていた甘い微笑みは跡形もなく消え失せた。

 ルシアンは今夜の誘いを拒絶したくせに、あの忌々しいセレステを会社に引き入れ、あろうことか堂々とアシスタントの座に据えたというのか。

「クソッ! どいつもこいつも死ねばいい!」

 たまらず低い声で毒づいた。

 もしこの場に誰かがいれば、今のヴェロニカの凄惨な形相を見て、普段エミリーを真似ている可憐な姿とはまるで別人だと気づいたことだろう。

 しばらくして、彼女は深く息を吸い込み、無理やり自分を落ち着かせた。

 焦ってはいけない。ヴェロニカ、取...

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