第70章

 セレステは呼吸を止め、瞳孔を収縮させ、ほとんど本能的にドアを閉めようとした。

 だが、リーダー格と思われる中年の男性医師が一歩前に出て、穏やかな声で言った。

「ヴィトリ奥様、どうか緊張なさらないでください。私たちはヴィトリさんの手配で、あなたの全身の健康診断を行うために参りました。悪意はありませんよ」

 検査?

 その二文字は、セレステの耳には青天の霹靂に等しかった。

 ルシアンが彼女に特別な薬を使うと言ったばかりなのに、午後に完全武装した医師の集団を送り込んでくるなんて。

 ルシアンの性格からして、それがただの普通の検査であるはずがない。

 いや……やめて……。

 彼女は...

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