第75章

 部屋の唯一の光源は、頭上の中央にあるシャンデリアだけだった。空気中に漂うむせ返るほどに甘い香りが、ピンク色をしたレース付きのベッドカバーと相まって、照明の下で言葉にできないほど艶めかしい雰囲気を醸し出している。

 セレステの視線は無意識に部屋の隅々を巡り、やがてベッドから離れた暗がりの一点で止まった。

 そこに、一脚の椅子が置かれていた。

 ひどく奇妙な形をした椅子だった。

 普通の椅子よりも高く、背もたれは垂直にそびえ、座面は狭い。両側には弧を描く肘掛けがあり、そこには長さを調節できそうな革製のベルトが取り付けられている。

 脚は頑丈な金属製で、床にしっかりと固定されていた。

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