第88章

 やがて、ダニエルが乱暴に引きずり込まれてきた。

 顔には真新しい痣が浮かび、口の端は切れて血が滲んでいる。すでに一通り手荒な「歓迎」を受けたのは明らかだった。

 しかし、血まみれで見る影もないセレステの姿を認めた瞬間、彼は目を血走らせ、必死に身もだえして抵抗し始めた。

「コルテス博士」

 ルシアンはセレステを突き放し、ダニエルの前へと歩み寄る。そしてしゃがみ込み、彼の口を塞いでいたガムテープを無造作に剥がし取った。

「見ろ。お前の愛しい女が、お前と一緒になるために何をしでかしたかを」

「このクズ野郎! 悪魔め! 彼女に何をした!」

 自由になった口で、ダニエルは即座に声を嗄ら...

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