第10章

葉山陸斗と協業の話を詰めることもなく、杏奈はアトリエへ戻らなかった。

そのまま葉山家へ直行し、荷物をまとめて――迷いなく家を出た。

大野友菜の家の近くにマンションを借りた。ひとりで暮らすには十分すぎる広さだ。

持ち出したのは最低限。葉山の奥様として揃えたものには一切触れず、自分の私物だけをスーツケースに詰めた。

午後いっぱい片づけに追われ、友菜が仕事を終えて帰ってくると、二人で夕飯を食べた。その流れで、次のシーズンの新製品の話になる。

「今日の午後の会議、出られなかったでしょ。もったいないよ。うちのアトリエ、ほんと人材の宝庫だから。次シーズンの新製品なんて、みんな遊び倒して花咲かせ...

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