第14章

葉山陸斗も、その可能性は一度考えたことがある。 

杏奈が突然、離婚を切り出し。翌日には退職願と離婚協議書を突きつけ、迷いなく大野友菜のアトリエへ転職したこと。

秘書に何度も連絡させても、返ってくるのは「面会はお断りします」の一点張り。 

大野友菜のアトリエと提携を持ちかければ、どのみち杏奈と顔を合わせられる――そう踏んでいた。だが先方は、わざと法外な条件を提示してきて交渉は流れた。 

「お姉ちゃん、あなたと三年も夫婦だったんだよ。気持ちがないなんて、受け入れられるわけない。だから私が戻ってきたタイミングで、わざと離婚協議書を出して『一文無しで出ていく』なんて言い出したの」

菊地美波...

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