第16章

菊地健二は、いくら鈍いとはいえ、これが誰の差し金か気づかないほど愚かではなかった。怒りで胸元を押さえたまま、椅子へどさりと倒れ込み、ゼエゼエと荒い息を吐く。

意地でスマホを掴み、杏奈へ電話をかけた。三回。どれもつながらない。

諦めきれずにLIMEを送ると、案の定、赤いびっくりマークが表示される。

受け止めきれなかった菊地健二は、そのまま気を失い、秘書に付き添われて病院へ運び込まれた。

目を覚ますと、彩子と菊地美波が寄り添って涙を拭っている。

「健二、やっと起きた……! ほんとに、怖かったのよ」

ベッドの上の気配に気づいた彩子が、慌てて立ち上がる。片手でナースコールを押し、もう片方...

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