第19章

葉山陸斗が研究室の窓口担当と、また顔を合わせる羽目になった日――彼の機嫌は底なしに沈んでいた。

その午後いっぱい、社長室の空気は凍りつき、誰も大きく息をすることすら憚った。うっかり社長の逆鱗に触れれば、何が飛んでくるかわからない。

いちばん苦しいのは浜野だった。葉山社長の側付き秘書である以上、ほかの秘書のように上手く距離を取って逃げることもできない。

「杏奈のほうを洗ってくれ。どうしていつも、俺と同じ場所に現れる」

陸斗は最初、浜野を疑った。だがすぐに、それが筋違いだと気づいた。

離婚が現実味を帯びているこの時期に、偶然が何度も重なるなど、信じられるはずがない。

陸斗の中で杏奈は...

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