第21章

杏奈が菊地美波の仮面を剥ぎたかったのは、ただ真実を暴くためだけじゃない。

むしろ――幼い頃の自分のために、溜め込んできた悔しさを一度、きっちり吐き出したかったのだ。

あの頃の杏奈はまだ小さく、自分を守る力なんてどこにもなくて。

菊地美波にあっさり蹴り出され、家の外へ放り投げられた。

けれど今回、葉山陸斗の浮気については、すべての罪を菊地美波ひとりに背負わせる気はなかった。

この三年間、杏奈が葉山陸斗に注いだものは、目が見えている人間なら誰でも分かる。

それでも、彼は頂点に戻った途端、昔手に入れ損ねたものを欲しがった。

要するに――根っこがそういう男なのだ。

そして、そういう男...

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