第34章

その後しばらく、菊地杏奈は新製品発表会の準備に全力を注ぎ込んだ。

午前は同僚とデザインの詰め。午後は工場に籠もってサンプルの縫製。夜は大野友菜を引っ張り回して会場の下見。細部の一つひとつまで自分の手で確かめたくてたまらない、そんな勢いだった。

復帰後、最初の新製品発表会。どれだけの視線が自分に向けられているのか、杏奈は痛いほど分かっている。

だからこそ、最高の状態で臨む。絶対に見下されない。まして「もう枯れた」なんて噂を立てさせるわけにはいかなかった。

葉山陸斗のそばに縛りつけられていた三年は、悪い夢だったと思えばいい。

夢は醒めた。これからは、自分のやりたいことをする。

ヒロイ...

ログインして続きを読む