第37章

あれほど露骨な侮辱を、菊地美波が耐えられるはずがなかった。

盗作――それは彼女がもっとも触れられたくない傷だ。もはや作り上げてきた「人柄」など保てず、怒りに任せて喚き散らす。

「あなた、何様のつもり? 私を誰だと思ってるの。阿部律! 今すぐクビにしてやる! こんな人、葉山グループにいる資格ない! 業界ごと干してやる!」

菊地美波は、デザイナーの急所を握ったつもりだった。

帝京市のファッション界で、葉山陸斗が首を縦に振りさえすれば――阿部律は一生、仕事にありつけない。

堪忍袋の緒が切れた阿部律は胸元の社員証を乱暴にもぎ取り、菊地美波へ思いきり叩きつけた。

「誰があんたの下で働きたが...

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