第42章

彩子は振り込まれた金額を見た瞬間、目がきらりと光った。返事は早い。小刻みにうなずいて、すぐさま請け負う。

「美波、安心して。今夜のうちに段取りつけてあげる。菊地杏奈のこと、きっちり“お灸”を据えてやるから」

母娘は病室で、午後いっぱい作戦会議をした。夕食まで一緒に済ませてから、名残惜しそうに別れる。

菊地家に戻った彩子が真っ先に向かったのは、書斎だった。そこで頭を抱えている菊地健二を見つけると、堰を切ったように泣きつく。

口を開けば、菊地杏奈が自分と菊地美波を死に追い込もうとしている、そんな話ばかり。

かつて杏奈が「双方の不倫」を突きつけた件など、この夫婦にとってはとっくに過去だっ...

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