第46章

菊地杏奈はぱちぱちと瞬きをし、個室の薄暗い照明に目を慣らしながら、目の前にずらりと並んだ男たちの顔ぶれを一人ずつ確かめた。

全員がきっちり身支度を整え、いちばん格好よく見える角度と表情を作っている。

――なのに。

どうしてだろう。杏奈の脳裏には、救いようもなく葉山陸斗の顔が浮かぶ。

自分がいちばん惨めだったあのとき、見下ろすような目でハンカチを差し出してきた横顔。

嫌になるほど整っていて、今も記憶の中で色褪せない。

杏奈は、腰の横に垂らしていた手をぎゅっと握りしめた。

「友菜が奢りなんでしょ。じゃあ、みんな残して」

離婚したんだ。いつまでも過去の感情に溺れてはいけない。思い出...

ログインして続きを読む