第55章

菊地杏奈は、新しい医療機器を目にした瞬間、胸が跳ね上がるほど興奮した。

そして否応なく思い出してしまう。もっと良い治療さえ受けられていれば――早くに逝かずに済んだかもしれない、自分のおばあちゃんのことを。

もしあの頃、手元に十分なお金があって。もし、教授みたいに腕のいい医師に出会えていたら……。

そこまで考えたところで、橋本博文と原田直樹がそれぞれ荷物カートを押しながら近づいてきた。

「後輩、久しぶり」

原田直樹は落ち着きがなく、菊地杏奈とは数か月しか違わないくせに、先輩風を吹かせるのが得意だ。両腕を大きく広げると、杏奈をぎゅっと抱きしめた。大きなハグ。

離れた途端、上から下まで...

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