第57章

葉山陸斗は疲れたように目を閉じたまま、頼りない声を落とした。

「何を期待するっていうんだ。どうせ何人かが歌って踊るだけだろ。前だって見たことある」

葉山家のこの世代の後継として、幼い頃から祖父の傍に付き従い、業界のきらびやかな宴は嫌というほど見てきた。

リゾートホテルのショーがどの程度のものか――陸斗には手に取るように分かる。

菊地美波は下唇を噛み、もう一度身を寄せる。指先で彼のこめかみをそっと押さえ、ゆっくり円を描いた。

「良い演出は気分がほぐれるものよ。陸斗が喜ばないなら、別にいいけど」

陸斗がぱっと目を開け、美波の手を引き下ろすと、そのまま掌の中で指を擦った。

「喜ばない...

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