第59章

リゾートホテルが妙に静かすぎるのか、それとも防音が甘いのか。

ベッドに横になって寝ようとしていた菊地杏奈と大野友菜は、夜は女のすすり泣きが途切れ途切れに耳へ入り、夜中になると今度は重いものが床に落ちる鈍い音に神経を削られた。

翌朝。休暇を楽しみに来たはずの二人は、そろって目の下に濃い隈を作り、ふらふらのまま外へ出る支度をする。

橋本博文と原田直樹はまだ時差ボケが抜けていない。田辺翔太に布団から引きずり起こされた時には、全身から陰気が漂っていた。しかも「杏奈に電話して朝飯に呼べ」と強制され、恨み節混じりの声で電話をかける羽目になる。

菊地杏奈も悠長にしていられない。きちんと身だしなみを...

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