第61章

葉山陸斗は視線を引き戻した。

「先輩たちが帰国したのはプロジェクトのためだ。恋愛してる暇なんてあるわけないだろ。杏奈だって、朝食を食べ終えたらそれっきりだ。気にするほどのことじゃない」

菊地美波は笑みをいっそう深め、声までさらにやわらげる。

「陸斗。お姉ちゃんがようやく誰かと向き合う気になったのに、そんなふうに水を差すのはよくないよ」

少し離れた席では、橋本博文と原田直樹が相変わらず舟をこぎ、田辺翔太はさっきと寸分違わぬ動作で朝食を口に運んでいる。

その中で、菊地杏奈と大野友菜だけが楽しげに笑い合い、ひときわ生き生きとして見えた。

葉山陸斗は俯いたまま食事を続けていたが、実のとこ...

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