第67章

「あなたとは、もう離婚した。これから先、直接関わることもない。――ただし、菊地家とのツケはまだ清算できてない。今後、巻き添えを食らっても……それはあんたの自業自得」

それが、葉山爺さんの顔を立てて菊地杏奈が葉山陸斗に残した、最後の忠告だった。

「……何をする気だ?」

我に返った葉山陸斗が、警戒心むき出しの目で杏奈を見据える。

「あなたが知る必要、ないでしょ」

杏奈はそれだけ言うと、車内のパーテーションをすっと下ろした。会話を拒む、明確な意思表示。

遮るものができた途端、葉山陸斗はまた黙り込む。言葉を失ったみたいに、ただ時おり――盗み見るように杏奈のほうへ視線だけを投げた。

杏奈...

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