第75章

話し合いの末、スタッフがステージ脇でテーブルを二つ繋げ、菊地杏奈たちが同じ席に座れるよう取り計らってくれた。

 幸い、ほかにも顔なじみ同士で相席にしている者が何組かあり、彼女たちだけが目立つこともない。

 四人が腰を下ろすやいなや、スタッフがオークションの展示カタログを運んできた。全員、それをめくりながらあれこれ話し始める。

 この場にいる面々のうち、大野友菜を除けば、帝京市のアパレル業界とは縁遠い人間ばかりだ。復帰したばかりの菊地杏奈でさえ、まだその世界にしっかり足場を築けてはいない。

 時おり挨拶に来る者もいたが、大半は大野友菜目当てだった。菊地杏奈に声をかける人間は少ない。いま...

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