第76章

菊地美波はさっと顔色を失った。だが次の瞬間には持ち直し、皮肉のこもった目つきで菊地杏奈を上から下までなめるように見た。

「さっきから私、何か間違ったこと言った? 菊地杏奈、そういう話で脅かそうったって無駄よ。あんた、葉山家に嫁いで3年、毎日家で洗濯に料理、それか会社でこき使われてたじゃない。おじいさまに取り入る暇なんて、どこにあったの?」

その自信満々な物言いに、菊地杏奈は思わず笑ってしまった。呆れて、だ。

どうやら葉山陸斗は、この前、葉山の祖父に二人まとめて呼び出された件を、彼女に話していないらしい。だからこんな勘違いができる。

「まさか、あの道中の防犯カメラしかないと思ってるの?...

ログインして続きを読む