第77章

菊地杏奈はコーヒーをテーブルに置いた。

同時に数人もすっと口をつぐみ、視線が申し合わせたように菊地杏奈へ集まる。

「今は、そういう気分じゃないの」

菊地杏奈はゆっくり答えだけを吐き出し、余計な説明はせずに、そのまま自分の考えを話し始めた。

「田辺先輩。今週、もうお二人の先輩が到着したら、私も研究室に戻って少しでも力になりたいです」

欲しかった返事を聞けたのか、大野友菜はほんの少し唇を尖らせ、それ以上は何も言わずにコーヒーを飲み続けた。

田辺翔太は心配そうな目で菊地杏奈を見る。

「研究室に戻ったら、オーロラアトリエに行ける時間が減るぞ」

三年前、菊地杏奈が研究室を去ったときの決...

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