第78章

菊地杏奈はひとしきり喚き散らした。吐き出す言葉の一つひとつが刃になって、まっすぐ葉山陸斗の胸に突き刺さっていく。

 今この場に凶器がなかったのが惜しいくらいだ。いっそ殴り合いになった方がまだましだった。こんなふうに車に閉じ込められたまま、病院へ連れて行かれるよりは。

 葉山陸斗の目は、最初こそ愕然としていた。次に浮かんだのは信じられないという色。だがそれもやがて消え、最後には痺れたような無表情だけが残った。

「おまえだって最初は、俺が植物状態だった隙に嫁いできたんじゃないのか。俺がさっさと死んで、遺産を相続できるようにってな。おまえがそういう女だから、美波も同じだと思うのか?」

 ひ...

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