第79章

「手配、早すぎでしょ。向こうの都合なんて、ちっとも考えてないんだから」

 菊地杏奈は大野友菜がまとめてくれた洗面用具のポーチを素直に持ち、彼女の腕に自分の腕を絡めたまま、大野家へ向かって歩いた。さっきまで沈んでいた気分も、少しだけ持ち直している。

 病院のほうは、今どうなっているんだろう。菊地美波は生きているのか、死にかけているのか。葉山陸斗がどうやって駆けつけるのかなんて、杏奈は知りたくもなかった。

 大野友菜は得意げに首をふりふりしながら言う。

「だって、あんたはあの人たちの後輩なんだよ? 後輩のために動くのは当然でしょ」

 もちろん、胸の内には別の理由もあった。けれど、それは...

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