第86章

「アイツがずっとまともなままで、こっちも普通に協力できるなら――別にそれでもいいんだけどな」

田辺翔太はスマホをポケットに突っ込み、くるりと振り返って今日の段取りを口にした。

研究室に配属されたばかりの後輩三人に異論はなく、彼らは手早く荷物をまとめると、わいわい言いながら寮へ向かった。

国内の研究室は葉山グループから資金支援を受けているだけでなく、帝京医科大学とも密に連携している。研究室と寮の場所は、いずれも大学側が提供していた。

キャンパス内を横切って歩いていると、ときおり学生が彼らの脇を足早にすり抜けていく。

講義棟の前を通りかかったところで、田辺翔太がふっと足を止めた。

「...

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