第94章

葉山陸斗は、菊地杏奈のいかにも事務的な態度に胸の奥を塞がれたような気分になった。だからといって、正当な理由もなく拒めるはずがない。結局こちらも同じく事務的に――いや、淡々とした口調で、彼女の質問に一つずつ律儀に答えるしかなかった。

菊地杏奈は素早くメモを取り、間髪入れずに別の項目を確認していく。最後に脈を取り、今日の状態に異常がないと判断したのか、小さくうなずいた。

「葉山さん、今日は悪くないですね」

眼鏡を外し、記録用のペンをファイルの留め具に挟む。そのまま立ち上がると、壁掛け時計に目をやった。

「朝食から三十分経っています。リハビリにはちょうどいい時間です。行きましょう、葉山さん...

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