第99章

静かな夜が明けると、菊地杏奈は驚くほど頭が冴えていた。ハンドルを握って会社へ向かう途中、気分まで軽くて、ついラーメンを一杯啜ってしまう。

到着した時間もぴたり。ほとんど葉山陸斗と前後して会社に入った。

エレベーター前で菊地美波が杏奈の姿を見つけ、ぱっと顔を明るくして声をかける。

「お姉ちゃん! 一緒に上がろう」

三人がエレベーターに乗り込むのを見て、受付の女性が目を見開いた。

菊地杏奈が葉山陸斗の妻だったことは、この三年で社内の周知の事実だ。離婚の件だって地元のニュースに数日間流れていた。知らないはずがない。

そのうえ、最近の菊地美波の「堂々とした立ち回り」も、誰の目にも明らかだ...

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