第102章

幸い、第1試験室の連中はそこまで下世話じゃなかった。せいぜい視線が鈴木結月の上をさっと撫でる程度。

 彼女が席に着くと、皆またそれぞれ手元の参考書へと目を落とした。

 別に直前で慌てて詰め込んでいるわけじゃない。普段からそういう習慣があるだけだ。

 そんな空気が、もう一度ドアの開く音で揺れた。冬だから教室の扉は閉め切ってある。誰かが押し開けて入ってきた瞬間、鈴木結月ははっきり聞いた。どこかで「すっ」と息を呑む音。

 ……そこまで?

 今度の視線は、さっきよりずっとややこしい。好奇心、怯え、そして少しの侮蔑。

 この「高得点帯」の教室は、だいたい顔ぶれが固定だ。ほとんどが1組と2組...

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