第113章

  けれど結月は知らなかった。自分が寝ていると思い込んでいる相手は、もうとっくに目を覚ましていることを。

  鈴木結月は布団の中でごろりと寝返りを打つ。掌でスマホを覆っていたせいか、じんわり熱を持っていた。

  起き抜けの声は、朝特有のかすれが混じって、どこか甘えた響きになる。ふにゃりとした、拗ねたみたいな口調で。

  「……なんで、そんなに早いの」

  「じいちゃんと朝飯食ってた」ソファに沈んだ高橋悠人の声は、澄んでいる。

  向こうから聞こえる、寝起きで少し不機嫌な、柔らかくて掠れた声。それだけで、彼女の姿がありありと浮かんだ。

  布団にくるまって、霧のかかったみたいな大き...

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