第150章

  このまま、目を覚まさなければいいのに。

  橋本理子がそう言い切った瞬間、橋本美月の胸の奥にも、同じ考えがすっと差し込んだ。

  そうなればどれだけ楽だろう。もう何ひとつ、奪われない。何ひとつ、競わされない。

  橋本美月の視線は、いつの間にか毒を含んでいた。

  鈴木結月が戻ると、高橋悠人はまだ書斎で仕事をしていた。投資銀行の業務が激務なのは当然で、残業など日常茶飯事だ。ここ2日、週末に会社へ行かなかったのは、彼女のせいだった。

  結月はドア口に立ったまま、彼が会議を続ける様子を見つめた。ノートPCの向こうには、海の向こうのチーム。

  流暢な英語でやり取りしながら、ふと...

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