第151章

 彼は軽くうなずくと柳田さんのそばへ歩み寄り、声を落として言った。

「案内をお願いします」

 二人が廊下の奥へ消えた瞬間、高橋紀明以外の顔色が一斉に曇った。そんな空気をよそに、髙橋貴裕だけはまだ嘲る余裕があるらしい。

「自分がこの家の当主だって思ってた人がいたみたいだけどさ。父さんは、そうは見てないみたいだな」

 高橋広明がカッと目を吊り上げる。

「貴裕、お前、何くだらねえこと言ってんだよ!」

「俺、今お前の名前出した? 名指しした?」

 高橋紀明ですら、今日の二人がなぜここまで苛立ちを募らせているのか、見当もつかなかった。

 高橋悠人が病室へ入ると、祖父は酸素マスクをつ...

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