第26章

「離してくれてもいいよ」

高橋悠人はこくりとうなずいた。口ぶりも柔らかく、いかにも話の通じる男みたいな顔をする。

――けれど、すぐに続けた。

「なんで、ずっと俺のこと避けてんの?」

声は軽い。責めるというより、確かめるみたいに。

彼女の距離の取り方、冷めた態度――それが見えているからこそ、高橋悠人だって答えが欲しくなる。

胸の奥に、理由のわからない苛立ちが湧いた。こんなふうに落ち着かないのは初めてだ。

彼女が黙れば黙るほど、焦げるみたいに気が立つ。

それでも離れられない。

あれだけ「近づくな」と言わんばかりに拒んでいるのに、どうしても寄ってしまう。

自分がこんなに意地の悪...

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