第33章

学年の番長が、俺にペン借りに来た……?

 男子は手元のマーカーを見下ろしたまま、数秒固まった。ようやく我に返ると、慌てて何度も頷く。

 「ど、どうぞ! どうぞお使いください!」

 高橋悠人がペンを受け取るや否や、男子は振り返りもせずに逃げるように立ち去った。

 悠人は気にも留めず、目の前で並んでいる二つの机へ視線を落とす。ペン先がふっと止まり、それから机の上に文字を書き切った。

 書き終えると、ペンをつまんだまま、しばらくうっとり眺める。

 本来なら各机にそれぞれの名前を書けばいいだけだ。なのに彼は「高橋悠人」の四文字を、自分の机と鈴木結月の机の両方に書いた。

 そして「鈴木結...

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