第49章

  だが、向かいにいる少年――高橋悠人の全身からは、ぞっとするほどの冷たさが滲み出ていた。研ぎ澄まされたような冷淡さ。

 まるで次の瞬間、本当に相手を殺してしまうんじゃないかと思うほど。

 ようやく結月は、小さな声で言った。

 「高橋悠人……その人、ほんとに何もしてないよ」

 さっき少年は、彼女の肩をぽんと叩いただけだった。鈴木結月は悪意を感じなかった。だからこそ、高橋悠人がなぜ突然こんなことをするのか分からない。

 それでも高橋悠人は何も言わない。ただ冷え切った目で、相手を見下ろしている。

 ちょうどそのとき、少し離れたところからバスがゆっくりと近づき、バス停の前で止まった。鈴...

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