第52章

「もう、そっちの戯言を聞く気はありません」

 鈴木結月はそう切り捨てると、淡々と事実だけを並べた。

「今日の昼、ナンプレの練習室にいました。途中でトイレに行ったら、いきなり男子が入ってきたんです。だから、追いかけて外に出ました」

 その一言で、校長室の空気が凍りつく。教師たちが目を見開き、中島拓真の母親の顔にも、はっきりとした動揺が浮かんだ。

 だが次の瞬間、彼女は跳ねるように立ち上がり、結月の顔を指さした。

「よくもまあ! 小娘のくせに平気で嘘をつくのね! つまり、うちの拓真が女子トイレに入ったから、あんたたちに殴られたって言いたいわけ?」

「そうです」

 結月は視線を逸らさ...

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