第57章

鈴木結月は視線の先を追った。男がひとり、清掃をしているおばあさんに絡んでいる。髪は真っ白で、年の頃は相当いっていそうだった。

 おばあさんは道端に座り込み、今にも倒れそうにぐったりしている。

 男は指を突きつけ、なおも怒鳴り散らした。

「いいか、芝居してりゃ逃げられると思うなよ。クソババア、立て」

 その瞬間、横から小さな男の子が飛び出してきた。何も言わず、手にしていた袋を振りかぶって男に叩きつける。

 不意打ちを食らった男はよろめいた。だが振り返って相手が子どもだとわかった途端、顔を真っ赤にして袋を奪い、男の子の腕を乱暴につかんで引き寄せた。

「このクソガキ、俺を殴る気かよ。今...

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