第62章

「……叔母さんが大目に見て受け入れてやったから、お前はいま高橋家の人間としてのうのうと座ってられるんだろ。ありがたく思えよ。お前の母親なんて――」

 横山唯人は、喉の奥で笑うようにそう囁いた。

 この隠し子が高橋家に戻れたのも、叔母さん――浅子が受け入れてくれたおかげ。横山はずっと、そう信じてきた。だからこそ、初めて高橋悠人に会ったとき、あれほど傲慢でいられたのだ。

 けれど本当は違う。

 悠人が戻れたのは浅子が「大らか」だったからじゃない。高橋紀明の実の息子だったからだ。

 鈴木結月は背後でそっと目を閉じた。

 ……自分から死にに行く人間は、誰が止めても止まらない。

 高橋悠...

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