第63章

  この手の話は、もう何度も繰り返されてきた。なのに、なぜか廃れない。ドラマの中でも、現実でも、いくらでも転がっている。

  浅子は、その「表に出てくる悪役」だった。藤井優子のもとを訪ね、近いうちに高橋紀明と結婚するのだと告げたのだ。高橋紀明がいつまでも優子と別れない理由も、浅子には手に取るように分かっていた。子どもが生まれたあとも、優子を外に囲っておきたい――それだけ。

  家では良き夫を演じ、外ではちゃっかり花を添える。

  けれど浅子が、結婚前からそんなふうに面目を潰されて耐えられるはずがない。たとえ自分が家柄を盾に割り込んだ側で、実質的には不倫相手だったとしても、罪悪感など欠片...

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