第7章

鈴木結月はその場から動かなかった。けれど教室をぐるりと見渡して、空いている席がたった一つしかないことに気づく。しかもそれは――高橋悠人の隣だった。

 一方の高橋悠人は、結月の顔をじっと見つめたまま。さっきまでの気だるげな表情が、彼女の逡巡につれてすっと冷えていく。

 ――こいつ、俺の隣に座りたくないんだな。

 高橋悠人は口元だけを歪め、鈴木結月を見上げて言った。

「来れねえの? 俺が食うとでも思ってんのか」

 ――うわ、マジかよ。

 教室の空気が一気に燃え上がった。番長が女子にこんなこと言うの、見たことあるか? 殴られるかもしれないと分かっていても、視線は二人の間を行ったり来たり...

ログインして続きを読む