第9章

  だが、鈴木結月が言い終えるより早く、高橋悠人が手を伸ばし、彼女の指先からペンをひょいと奪い取った。

  それからようやく、のんびりした足取りで自分の席へ戻り、どかっと腰を下ろす。

  鈴木結月も席に着くなり、すぐ手を差し出した。

  「……私のペン」

  高橋悠人は手の中のそれに視線を落とす。校門前のコンビニで普通に売っている黒のボールペン。1本150円。安物だ。

  なのに、彼女が握って書く文字は、妙に整っていて綺麗だった。

  ――本人みたいに。

  字は人を映す、なんて。あながち嘘じゃない。

  ペンを指の間でくるりと回し、高橋悠人は首だけ傾けて鈴木結月を見る。

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