第100章

「木村さん、今日もまた荷物が届いていますよ」

受付の女の子は暇を見つけて、うつむいたまま彼氏とメッセージのやり取りをしていた。顔を上げると木村直人が会社の玄関から入ってくるのが見え、慌てて声をかけた。

またか!!

木村直人は顔を真っ黒にした。彼の身体についた香りがまだ消えておらず、取引先と話をするたびに、相手から奇妙な目で見られることになっていた。

「あの、社長からですが、今後このような差出人不明の荷物は自分で処理して構わないそうです。彼に渡す必要はありません」

木村直人は無表情でそう言うと、踵を返してエレベーターホールへ向かった。

受付の女の子は頭の中が混乱した。木村さんが今言...

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