第110章

天川隆也は恥ずかしそうに鼻筋を撫でながら笑った。

「堀田おばあちゃん、そんなこと覚えてなくても良いですよ」

「ふん!」堀田おばあちゃんはツンと冷たく鼻を鳴らした。

その後、彼女は表情を引き締めて尋ねた。

「お前の祖父は今どんな状態なんだ?」

天川隆也は冗談めいた態度を引っ込めて、苦笑いした。

「堀田おばあちゃん、歩きながら話しましょうか」

「ああ」

堀田おばあちゃんは天川隆也について三階の入院病棟へ向かうエレベーターに乗り込んだ。堀田知也と佐藤玲奈が左右から堀田おばあちゃんを守るように寄り添っていた。

「祖父は外出した際に、不注意で五段の階段から落ちて、両足を骨折してしまっ...

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